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人が集まる会社は、育てる仕組みがある ― 左官会社に学ぶ人材育成の仕組み ―

人の集まる会社

人手不足と言われる建設業ですが、その中でも若者が集まり、定着している会社があります。

以前のブログ「“人手不足なのに求人が減る”なぜ?」では、医療・福祉と建設業を対比して書きました。

医療・福祉では就業者が増えていますが、建設業では減少が続いています

しかし、同じ業界でも人が集まる会社と、なかなか集まらない会社がある。

求人の仕事をしていると、企業から
「若い人が入ってもすぐ辞めてしまう」
という相談をよく受けます。

その違いは何なのでしょうか。

今回は、そのヒントになる会社として、左官会社 原田左官工業所 の取り組みを紹介したいと思います。

若者が集まる左官会社

  • 若者が定着している
  • 女性の活躍を積極的に進めている

それが1949年創業の(有)原田左官工業所です。

職人を社員として雇用し、社員数は2025年で約60名。

最近では海外からの依頼も増え、2035年には年商100億円を目指すビジョンを掲げています。

人材不足が深刻と言われる建設業、とくに左官業の中で、若者や女性も活躍する会社として成長を続けています。

問題は若者ではなく「教え方」?

三代目社長の原田宗亮さんが感じていた最大の問題は、若者の定着率の低さでした。

ようやく人が入っても短期間で辞めてしまう。

かつて30万人いた左官職人は、現在では7万人弱だそうです。

その原因は若者ではなく、教え方にあるのではないか。

原田社長はそう考えました。

従来の職人の世界では

  • 最初は掃除や運搬
  • 鏝(こて)を持つまで長い下積み
  • 教え方は先輩によってバラバラ

という状況でした。

覚えられないのは本人の努力不足、と考えられていたのです。

そこで原田社長は
「しっかり教えて → 定着させる」
という仕組みづくりに取り組みました。

人材育成の仕組み「モデリング」

原田左官の人材育成の中心はモデリング です。

この育成方法は2010年に導入されました。

入社した社員は最初の1カ月、現場に出る前にトレーニング場で壁塗りの練習を行います。

練習用のベニヤ板を使い、基本となる鏝の扱い方を繰り返し学びます。

この方法は、左官の名人の動きを撮影し、その動きを真似ながら体で覚えていく訓練です。

一流の技を「見て」、
それを「真似て」、
体で覚える。

この訓練により、従来6カ月かかっていたスキルが 1カ月で習得できるようになったそうです 。

仕事を覚えていく実感があれば、若者は仕事の面白さを感じ、さらに成長していきます。

当初は未経験者にいきなり鏝を持たせることに懐疑的だった職人たちも、若者たちの成長を見て協力的になっていったそうです。

見習い終了を祝う「年明け披露会」

もう一つ印象的なのが「年明け披露会」です。

職人の世界では、見習い期間が終わることを「年季が明ける」と呼びます。

原田左官では、4年間の見習い期間が終わると年明け披露会を開催します。

会には社員だけでなく

  • 本人の両親
  • 家族
  • 取引先

なども招き、ホテル会場で盛大に祝います。

本人はそこで

  • これまでお世話になった人への感謝
  • これから職人として歩む決意

を表明します。

また、この場には見習い期間中の社員も参加しています。

近い将来の自分の姿を思い描くことができ、目標に向かう力にもなっているのだと思います。

人を育てる仕組みが会社を強くする
明確な育成制度と目標。

そして段階的な教育。

こうした仕組みがあることで、左官という小さめの業種でありながら

  • 新卒
  • 若者
  • 女性

が活躍する会社として成長を続けています。

求人の現場を見ていると、「人がいない」と言われますが「人が定着しない」という声もよく聞きます。

しかし原田左官工業所の取り組みを見ると、
人がいないのではなく、「育てる仕組みが不足している」
ということもあるのかもしれません。

自社も含めて各々の業界が育成の仕組みをもっと考えなければいけないと改めて考えさせられます。

会社訪問と講演から学んだこと

今回の内容は原田宗亮さんの著書も参考にしていますが、私は2016年に原田左官工業所を訪問し、モデリング場を見せていただきました。

その後2017年には沖縄で原田社長に講演をしていただき、「若者や女性を4年で職人に育てる会社」としてお話を聞く機会もありました。

2019年には大番頭である堀越孝志さんにも、人材育成について講話をいただきました。

その頃も育成制度や社員を大切にする取り組みはすごいと感じていましたが、年商100億を目指すというビジョンには更に驚きました。

人材育成が上手くいけば、そのような大きなビジョンも描けるのだと思います。
これからのご活躍を期待したいところです。

終わりに

人手不足の時代と言われますが、人を育てる仕組みがあれば、人は集まり、会社は強くなる。

原田左官工業所の取り組みは、そのことを教えてくれる事例だと感じました。

▼ 原田左官の「売上100億宣言」が日刊工業新聞に掲載
https://www.haradasakan.co.jp/31579/