- 人口は+1%、就業者は+7%
- 産業別の内訳
- 従業員規模別の変化
- 産業構造の変化と採用の難しさ
- 医療・福祉 vs 建設業 ― 求職者が感じる“働き方の違い”
- 今後の課題
- 採用をお手伝いする私たちとして
- 共感採用の事例紹介
- 用語解説
このブログは、沖縄労働局が毎月発表する「労働市場の動き」(2025年9月)をヒントに書いています。
https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/jirei_toukei/kyujin_kyushoku.html
先月のブログでは、「“人手不足なのに求人が減る”なぜ?」の中で、人手不足に悩みながらも“先行きに対する不安”が求人抑制につながり、そのギャップとしてデータに表れている可能性について書きました。
今回は、5年前(2020年9月と2025年9月)のデータを比較してみました。
すると、興味深い変化が見えてきました。
人口は+1%、就業者は+7%
沖縄県の人口は2020年に比べて+1%(約8,000人増)ですが、就業者数は+7%(約49,000人増)と大きく伸びています。
人口以上に「働く人」が増えたことになります。
就業者が増えた背景には、医療・福祉の人材需要の拡大がありますが、観光が主要産業の沖縄では、観光回復により宿泊・飲食・小売など裾野が広い多くの産業に就業者増の波及効果があったと考えられます。
産業別の内訳
- 第一次産業:-1,000人
- 第二次産業:+9,000人
- 第三次産業:+51,000人
とくに第三次産業では、
- 宿泊・飲食:+7,000人
- 卸売・小売:+8,000人
- 医療・福祉:+27,000人
の3業界が大幅に伸びています。
一方、建設業は-3,000人と厳しい状態です。
沖縄県労働力調査を基にした表(単位千)
| 令和2 | 令和7 | |||
| 沖縄県 | 2020年 | 2025年 | 増減数 | 増減 割合 |
| 人口 | 1458 | 1466 | 8 | 101% |
| 労働力 人口 |
775 | 803 | 28 | 104% |
| 就業 者数 |
726 | 775 | 49 | 107% |
| 就業率 | 59.8% | 62.6% | 105% | |
| 一次 産業 |
27 | 26 | -1 | 96% |
| 二次 産業 |
107 | 116 | 9 | 108% |
| 建設 | 72 | 69 | -3 | 96% |
| 三次 産業 |
581 | 632 | 51 | 109% |
| 宿泊業 | 62 | 69 | 7 | 111% |
| 卸・ 小売り |
106 | 114 | 8 | 108% |
| 医療・ 福祉 |
159 | 186 | 27 | 117% |
100~499名規模の企業で16,000人増(+15%)
中規模企業の雇用吸収力が高まっています。
沖縄県労働力調査を基にした表(単位人)
| 従業員 規模 |
2020年 | 2025年 | 増減数 | 増減 割合 |
| 1~29 | 209 | 217 | 8 | 104% |
| 30~99 | 102 | 111 | 9 | 109% |
| 100~499 | 105 | 121 | 16 | 115% |
| 500人 | 128 | 122 | -6 | 95% |
| 544 | 571 | 27 | 105% |
産業構造の変化と採用の難しさ
2020年から比べると就業者は増えているものの、特定産業に偏って伸びていることが分かります。
同じ産業内でも「採用ができている会社」と「できていない会社」がありますが、産業全体の傾向として偏りが見られます。
医療・福祉は急速な高齢化の中で需要が非常に高く、新規求人倍率は約3~5倍。
その中でも就業者を大きく伸ばしています。
一方、建設業は就業者が減少。
新規求人倍率は4~11倍と採用する側には厳しく、「建築・土木・測量技術者」では11.52倍(求人数288人に対し求職者25人)と超売り手市場です。
※労働市場の動き2025年9月より。
医療・福祉 vs 建設業 ― 求職者が感じる“働き方の違い”
新規求人倍率・平均賃金:沖縄労働局「労働市場の動き2025年9月」より
| 観点 | 医療・福祉 | 建設業 |
| 賃金 | 21~25万円 | 24~31万円 |
| 年間 休日 | 111~113日 | 104~114日 |
| 勤務 時間 | シフト勤務 (24時間体制あり) 固定勤務もあり。 残業5~10時間 | 7〜8時スタート (天候・工期に左右される) 残業20~30時間 |
| 仕事 場所 | 主に屋内 | 屋外が多い |
| 仕事 内容 | 人に対する支援 | 建物や道路をつくる |
※企業・職種により大きく異なります。
医療・福祉は人手不足とはいえ就業者は着実に増えています。
一方、建設業は賃金水準は比較的高いにも関わらず、屋外作業・暑さ・安全管理・残業の多さなどの理由からか、就業者は減少しています。
医療・福祉は国からの処遇改善加算やベースアップ支援など、“給与の底上げ”につながる施策が多くあります。
そのため、建設業に比べて賃金が安定しやすく、働きやすさや安心感につながっているかもしれません。
今後の課題
新規採用ができない職場では従業員の高齢化が進んでおり、放置すれば事業存続にも影響が出かねません。
ただし、建設業でも医療・福祉でも、“人の集まる会社”は存在します。
次回以降、そのような会社の事例や取り組みも紹介していきたいと思います。
採用をお手伝いする私たちとして
物価高騰や賃金上昇は、企業も私たちもコントロールできない外部環境です。
その中で私たちができることは、
「企業(職場)に共感した応募者を増やすこと」
「求人者と求職者、双方の希望に近づく採用サービスをつくること」
だと考えています。
これからも、そのためのサービスを企画・提案してまいります。
共感採用の事例紹介
医療法人 太陽会 かりまた内科医院
https://taiyoukai-recruit.jp/
用語解説
| 労働力人口 | 就業者数+完全失業者数 |
| 就業者数 | 15歳以上で、仕事をしていた人+仕事があり休んでいた人 |

