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労働市場をちょこっと考える/2025年11月号 景気は回復、でも求人は減る。その分かれ道 ― 求人減少と価格転嫁の関係 ―

労働局資料にあった、気になる一文

「求人の動きに落ち着きがみられる」

これは、このブログの基資料、沖縄労働局が毎月発表する 「労働市場の動き」2025年11月の解説に書かれていた言葉です。

https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/content/contents/002509236.pdf

求人倍率と求人数の現状

11月の状況は有効求人倍率1.08倍。
月間有効求人数:28,815人で、前年同月比▲6.9%(▲2,147人)と、25カ月連続減少です。

直近半年をみても、有効求人倍率は1.12~1.08倍台を推移しています。

コロナ禍前の水準を振り返ると

  • 2018年:1.25倍
  • 2019年:1.33倍
  • 2020年:1.31倍

人手不足とはいえ、以前の切迫感とは少し様相が変わっている感じがします。

主要産業別に見る、求人減少の広がり

「主要産業別新規求人数」を見ると、前年同月比で
「運輸業・郵便業」+43.1%。

それ以外の8産業はすべてマイナスです。
特に「生活関連サービス業」▲31.5%、「卸売業・小売業」▲25.2%と、他にも▲15%以上減少している産業が3つあります。

景気は「拡大基調」なのに?

ここで少し矛盾を感じたのが、2026年1月17日琉球新報朝刊の記事です。

日銀那覇支店の発表では、2025年11月は 県内景気は「拡大基調にあるとの判断を維持した」と載っており、 その下方にある海邦総研の2025年10〜12月期の県内景気動向調査では、 全産業の景気判断はプラス5.6、 「県内景気はゆるやかに拡大している」と紹介されています。

海邦総研のコメントにあったヒント

気になったのは、海邦総研の発表の中にあった一節です。

「原材料費高騰などといったコスト面での負担増の傾向は続くものの、価格転嫁の進展で利益を確保できた企業も多く、3期連続で県内景気は緩やかに回復していると判断した」

以前のブログで感じていた違和感

私は以前のブログで 「“人手不足なのに求人が減る”なぜ?」
https://www.jwarm.net/blog/archives/45
というテーマを書きました。

その中では、「先行きに対する不安」が心理的なブレーキとなり、様子見を含め求人活動を足踏みしているのではないかと仮説を立てました。

今回、見えてきた一つの理由

今回あらためて考えてみて、気づいたことは 「価格転嫁」の成否です。

価格転嫁ができた企業、できなかった企業

業績が上がっている企業は、価格転嫁がうまくできている。
日常生活に欠かせない食料などでは、 大手メーカーが何千点と価格を上げてきました。
それに連動して、中堅・中小企業も価格を上げています。

しかし、

  • うまく価格転嫁できている企業
  • できていない企業

その差は確実に出ているように思います。

中には、原材料費や人件費が高騰する中でも、 競争激化により販売価格を下げざるを得ない企業もあるでしょう。

廃業・倒産増とも重なる構図

こうした状況は、 最近増えている事業の廃業や倒産にも 表れているように感じます。

採用に踏み切れる企業、踏み切れない企業

そう考えると、 価格転嫁も含め、これからの事業展開に「勝ち筋」が見えている企業は、 積極的に人員募集を行う。

建設業や介護職など、 今後も需要が見込め、人がいれば仕事が取れる業界は、 採用に対して非常に意欲的です。

一方で、一般企業の中には、 人手不足は感じているものの、 人件費の高騰や経営の先行き不透明感から、 積極的な募集に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

価格転嫁の成否が、求人の差になっているのではないでしょうか。

求人減少の背景にあるもの

価格転嫁の成否が、 「求人を出せるかどうか」の差として表れている

最近の求人減少は、 その一端を示しているのではないか、 そんなふうに感じています。

ジェイウォームの立ち位置として

経営環境を考えると「人が欲しい」気持ちと「踏み切れない現実」の間で揺れている企業が自社も含めて増えているように感じます。

採用意欲が落ちたというより、 価格転嫁や事業の見通しが立つかどうかで、「今、求人を出すべきか」を慎重に判断している。
そのような感じです。

これからに向けて

人口減少はこれから更にすすむ中で、 どのような勝ち筋があるのか。

うまくいっている事例なども探しながら、 ここで紹介していければと思います。