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「ここで働きたい」が生まれる職場 土日祝休み・17時閉店の美容室

「sweet株式会社 上地広喜さん」
取材時も終始笑顔でお話頂きました。

「えっ、そうなんですか……」

インタビューは、私のそんなひと言から始まりました。
約10年前にお聴きした内容も十分に驚きでしたが、今回のお話はさらに進化していました。

場所は沖縄県読谷村。
理美容業界で長く事業を続けているsweet株式会社の代表、上地広喜さんを訪ねました。
お話を伺ったのは、「レオン読谷店」の2階にある事務所です。

約10年前にお聴きした時も、社員ファーストの考え方が中心でした。

創業者である先代の、

「預かった子どもたち(スタッフ)は、利息をつけて親元に帰す」

という考えのもと、新人スタッフの育成に全店を挙げて取り組んでいるお話を聞かせていただきました。

今回、あらためて上地さんにお話を伺いました。

冒頭の「えっ、そうなんですか……」は、うるま市にある美容室の話を聞いた時に出た言葉です。

その美容室では、スタッフ全員がパート勤務。
店長もパート勤務。
そして、土日祝日は休みで、17時に閉店
するというのです。

理美容業といえば、土日祝日が忙しく、いわゆる稼ぎ時です。
ましてや17時閉店となると、お店の稼働時間も短くなります。
それをパート勤務のスタッフだけで運営して、経営は成り立つのだろうか。
その不思議さに、思わず驚いてしまいました。

働く人に合わせた営業時間

なぜ、その営業時間にしたのかを伺うと、理由はとてもシンプルでした。

スタッフが働きやすい時間に合わせている、ということでした。

子どもが小さい主婦にとって、夕方以降や土日の勤務は難しい。
そのような考えから、土日祝日休み、17時閉店という形にしているそうです。

また、グループの写真スタジオでは、もともと17時までだった営業時間を、16時半までに変更したとのことでした。
これも、働いているスタッフからの提案を受けて、そのようにしたそうです。

美容室でもスタッフ全員が17時まで働くわけではありません。
扶養の範囲内で働く人もいれば、家庭の都合に合わせて早上がりをする場合もあります。
有給休暇も、ほぼ取得しているとのことでした。
ただ、それは単に「働きやすい職場」というだけではありません。
スタッフが自然と自分ごととして働ける仕組みが、そこにはありました。

安心して働ける仕組み

sweetさんでは、働き方を3つから選べるようにしています。

フルタイム。
短時間正社員。
パート勤務(扶養の範囲内)。

自分で選んだ働き方の中で、時間の調整も融通が利くそうです。
さらに社会保険も完備し、安心して働ける環境を整えています。

理美容業界では、小規模の店舗も多く、社会保険に入っていない、有給休暇が取りづらいという職場もあります。

また、フリーランスで働いていた美容師の場合、育休などがなく、休んでいる間は無給になってしまうこともあります。

そうした経験をされた方が、sweetさんで働きたいと、人づてに連絡してくることもあるそうです。

頑張った分が給与に反映される仕組み

こちらでは、パート勤務のスタッフの時給は1,100円~1,200円でした。
ただし、この時給は最低保証給の意味合いもあります。

例えば、時給1,100円で月100時間働けば、給与は11万円になります。
一方で、自分で担当した月の売上合計の40%が、時給で計算した給与11万円を超えた場合は、そちらが優先されます。

仮に月60万円を売り上げた場合、

60万円 × 40% = 24万円

となります。

実際には勤務条件や制度上の微調整がありますので、ここでは分かりやすくするための概算として紹介しています。

自分が担当した分が、自分の収入に反映される。
この仕組みがあるため、しっかり稼ぎたい人も、扶養の範囲内でマイペースに働きたい人も、それぞれの働き方を選ぶことができます。

給与の見える化

上地さんは、経営コンサルタントの一面も持っています。
運営上の数値管理はもちろんですが、スタッフは会社全体の数字よりも、まずは自分の給与や生活に関心があると話されていました。

そこで、一人ひとりが自分の稼ぎを見える化できるよう、バランスシートのような1枚の表で理解できるようにしています。

私も見せていただきましたが、

「これだけやったら、こうなる」

ということが、とても分かりやすく表現されていました。

数字を管理のためだけに使うのではなく、働く人が自分の稼ぎや暮らしを考えるために使っている。
そこが、とても印象的でした。

安心感+やりがい+見える化=自分ごと

sweetさんでは、社会保険や有給休暇の充実によって、働く人の安心感をつくっています。

一方で、頑張った分が収入に反映され、自分の稼ぎも見える。
だからこそ、仕事が自分の暮らしや生活とつながって見えてきます。

子どもの学費のために、今はしっかり稼ぎたい人。
扶養の範囲内で、家庭と両立しながら働きたい人。
有給を使って、自分の楽しみも大切にしたい人。

同じ職場で働いていても、一人ひとりの事情は違います。
sweetさんの仕組みは、その違いを無理に一つにまとめるのではなく、それぞれの働き方として受け止めているように感じました。

自分の働き方を選べる。
自分の稼ぎを自分で調整できる。
自分の暮らしと仕事がつながって見える。

そうなると、仕事は「言われたからやるもの」ではなく、「自分たちの場所を守るもの」に変わっていくのだと思います。

実際、現場のスタッフも、平日の限られた時間でお客様が途切れないように、リピートのお客様へ案内をしているそうです。
それは、自分たちが働きやすいように営業時間を整えてくれている会社に報いるためでもあり、何より、自分たちの職場と生活を守るためなのだと思います。

人が集まる職場には、理由がある

そのような職場には、自然と人も集まります。

私が訪問した時点でも、数カ月以内に3名の面接が予定されていました。
その多くが、働いているスタッフの知人や親戚などから、sweetさんの話を聞いて紹介された方たちでした。

求人の仕事をしていると、「どうすれば人が集まるか」という相談をよく受けます。

もちろん、求人広告の出し方も大切です。
条件の見せ方も、仕事内容の伝え方も大切です。

でも、その前に、

「ここで働いている人は、この職場を誰かにすすめたいと思っているか」

という問いがあるのかもしれません。

人が集まる会社とは、条件が良い会社というだけではないのだと思います。

自分の事情に合わせて働ける安心感がある。
自分の働き方を選べる余白がある。
頑張った分が収入に反映される。
そして、自分の人生と仕事がつながっている実感がある。

そういう職場だからこそ、働いている人が、大切な友人や家族に紹介したくなるのだと思います。

採用は、職場の中から始まっている

採用とは、求人を出すことだけではなく、
人が「ここなら自分らしく働けそう」と感じられる土台を、会社の中につくっていくことなのかもしれません。

人を大切にすることは、単に福利厚生で優遇することではなく、
社員が自分ごとで働くための、経営の土台なのだと感じました。

まだ紹介しきれていないところもありますので、次回以降に続きを書きたいと思います。

取材先

会社名 sweet株式会社
事業内容 美容室(2店舗)・理容室(3店舗)・写真スタジオ(1店舗)経営
代表者 上地広喜
社員数 38名

セミナー情報

「もう正社員だけに頼らない!柔軟な採用選択で稼ぐ力を向上」というセミナーで、上地さんも登壇される予定です。
詳細が決まりましたら、あらためてお知らせします。